なごや自閉症

治療教育相談室

Nagoya Autism Treatment, Education, & Consultation Center

ひまわりABA教室 (発達療育レンテ名古屋)
461-0001 名古屋市東区泉1丁目
10-25 シェモア泉 7A

ph: 052-212-8513
fax: 052-212-8514

himawariaba@elche.co.jp

  • ホームClick to open the ホーム menu
    • 講演会情報
    • オンライン講座
  • 自閉スペクトラム症についてClick to open the 自閉スペクトラム症について menu
    • 自閉スペクトラム症診断
    • 治療・療育の選択肢
    • 療育の選択と効果
  • 自閉スペクトラム症とABAClick to open the 自閉スペクトラム症とABA menu
    • 早期教育
    • 学校に入って
    • 将来へ向けて
  • 家庭で療育・ABAClick to open the 家庭で療育・ABA menu
    • 強化の前に
    • 強化とは
    • 強化を上手に使う
  • ABAサービスの紹介Click to open the ABAサービスの紹介 menu
    • ひまわりABA教室
    • 小学生(支援級向け)
    • 思考・表現のクラス
    • 体験談
    • リンク
    • 目標・スタッフ紹介

強化とは(Reinforcement)

 「強化」って聞いた事ありますか?日本でも徐々によく使われる言葉になってきています。言葉が広がるにつれて、間違った使われたかがされる場合もあります。ここでは、なるべく難しい用語を使わずに、説明していきたいと思います。

  • 強化って何?

     ある行動の後に何か起こったとします。もし将来的似たような環境で、その行動がもっと頻繁に起こるようになったとすると、強化が起こったと言います。例えば、のどが乾いて冷蔵庫を開けると、冷たいジュースが待っていたとします。また次にのどが乾いた時には、冷蔵庫のドアを頻繁に開けるようになったとします。この例では、ある行動とは「ドアを開ける事」、何か起こったことは「冷たいジュースが見られたこと」、似たような環境とは「のどが乾いていて、冷蔵庫の側にいた時」ということになります。

  • 好子・強化子について

     「何か起こったこと」は何でも良いんですが、常識から考えれば「何か良い事」と言う事になりますが、本来の原理から考えると、良さそうに見えなくても、将来的に行動を増やせば別に何でも良いんです。これを、「好子(ま たは強化子)」と言います。好子は人によって違ってきます。同じ人でも時によって変わってきます。ここで大切なのは、行動が増えなければどんなに良い物で あっても、好子・強化子ではないということです。行動が増えなければ、強化も起こっていません。よく、「強化子は使ったけれど、効き目がなかった」という 人がいますが、効き目がないなら、「好子・強化子がみつけられなかった」という言い方が正解です。好子は原則として効き目があるものの事を言うのです。

     好 ましい物がいつでも好子になる訳ではありません。お菓子が好きでも、食べ過ぎた時はもう食べたくなくなるでしょう?お菓子がいつでも行動を増やすとは限り ません。また、行動の難しさとも相対的に関係してきます。100円玉を偶然落としたとします。拾うとしますよね。拾うという行動を増やせたと言えます。汚 い例ですが、100円玉を公衆便所の便器の中に落としたとします。拾いますか?1円玉ならどうです?500円玉ならどうです?お金はまあ常に好ましいもの でしょうが、いつでも好子になるとは限らないのです。拾うという行動を増やせるか増やせないかは、好子の強さと行動の難しさに相対的に関わってくるという ことです。

     強 化を使って行動を増やす(教える)場合、望ましい行動が起こったすぐその後に、好ましい物を出すことになります。ただし、その好ましい物が本当に好子で あったのかは、行動が増えたか増えないか(強化が起こったか起こらないか)によって判断するしかないのです。行動が増えなければ、他の好子を探さなければ いけないことになります。

  • 行動を減らす(消去、罰)

     行動を減らすには、好子をこれ以上出さない、言い換えると行動のあとに何も起こらないことで、徐々に行動を減らす事ができます。これを消去といいます。例えば、自動販売機にお金を入れて、何も出てこないとします。自動販売機にお金を元々入れたのは、過去にお金を入れて欲しい物が出てきたからです。お金を入れても何も出てこないとすれば、お金を返却ボタンを押してみるでしょう。もう一回入れてみるかもしれません。これ以上お金を入れ続けますか?何回か試した以上には続けませんよね。好子がなければ、徐々に行動はなくなってしまうんです。行動の後に何もおこらず、似たような状況で行動の頻度が徐々に下がっていった場合を、消去と言います。

     これに対して、お金を入れようとすると大きな静電気が走ったとします。物は出てきましたが、次に同じ自動販売機を使いますか?ちょっとためらうでしょう?ある行動の後に何か起こって、似たような状況で行動の頻度が将来的に下がった場合には、これを罰といいます。行動分析に使う罰は、一般に使われる罰と違います。療育にはあまり使われないので、説明はこのくらいにしておきます。

  • 行動が起こっていない時:プロンプト、シェイピング

     お気づきかもしれませんが、強化を使う場合は、まず行動があってその後に好子を出さなければいけません。行動が全然起こっていなかったら、増やせません。そ れでは行動が現在起こっていない場合はどうすれば良いんでしょう。2つ方法があります。一つは、行動が起こるよう手助けすることです。たとえば、ボールの 投げ方を上達させようとする際、何度ボールを投げたところで、偶然きれいなボールの投げ方をしてしまうことはあまりないですよね。この場合、上手く投げる ことのできる先生が、横から生徒の体を動かしてあげることができます。これが、身体プロンプトと言われるものです。

      もう一つは、目標となる行動に徐々に近づけていくことです。ボール投げの例でいけば、明らかに上手な投げ方をすることはまずないのですから、上手な投げ方 に少しでも近づいた場合に好ましい物を提供することになります。ちょっと上達したら、もう少し上手な投げ方に近づいた場合にのみ、好ましい物を提供する。 こうやって、徐々に徐々に上手な投げ方に近づける事を、シェイピングと言います。この方法は時間もかかるし、技術も必要です。しかし、シェイピングしか使えない行動もあります。例えば、口で話すという行動は、のどの動きを使うのでどうしてものどを動かしてあげることが出来ない(身体プロンプトができない)ので、シェイピングしかできません。

      行動分析の授業の一環として、大学で生徒がネズミに色々な行動を教えることがあります。ネズミには身体プロンプトはできませんので、シェイピングを使うこ とになります。好子には、えさや水を使います。えさをやるのが、本当に何分の一秒遅れる事で、上手く行動を教える事が出来なくなってしまいます。本当に ちょっとの差なのですが、上手く教えられない生徒は大抵「このネズミ頭悪い」などと文句を言います。実際には、「教え方が悪い」のです。私の勉強したウェ スタンミシガン大学のマロット教授は、こういって学ぶ側を責める事を、「被害者を責める」と言います。教えるって簡単ではないんです。自閉症の子供って、 こうやって、責められ続けて成長続けることって多いと思います。学べなければ、教え方を上達させるという姿勢が問われる事になります。

  • 強化モドキ

      強化っぽいけれども、強化でないものもあります。「もしAという行動をしたら、Bという報酬を与える」という条件を出した場合、行動って増えますよね。例 えば、子供に「今日宿題をしたら、新しいゲーム機を買ってあげる」ということなどです(この条件が良いかどうかは別として)。こういうルールとか条件を使 えば、宿題という行動が起こっていないにも関わらず、将来の宿題の行動を増やす事もできます。ですから、厳密に言えば強化ではなく、強化モドキなんて言い ます。人間は言葉が話せるので、実際に強化を使う必要は必ずしもない訳です。こういった条件やルールを上手く使う方法もありますが、ここでは一番シンプル な強化に焦点を当てます。というのも、幼児教育の場合、言葉があまり話せないということを前提にしますので、強化が使いこなせるか使いこなせないかで、大 きな違いが出てくるからです。

  • 強化は毎日起こっている

      強化を使う必要は必ずしもないと言いましたが、強化は大人にも、子供にも、動物にも効果的だということを覚えておいてください。一番シンプルな強化ができ なければ、先へは進めません。もし、あなたの旦那さん、奥さんが毎日文句ばかりを言うので困っているとします。「文句ばっかでうるさい」などと言い放って しまえば、夫婦関係にひびが入るかもしれません。「もし、文句を言わずポジティブなことを言ってくれれば、小遣いを増やす」なんて言えば、ポジティブにも聞こえないこともないですが、こんな事を言われても頭にくると思いませんか?強化を使えば良いのです。相手がポジティブな話をした時は嬉しそうに返事をしたりして、「もっと聞きたい」という姿勢を見せます。逆に相手が文句を言った時には「それなり」に聞くというように、「聞いているけれど、それほど興味はない」という姿勢を見せます。人ってやっぱり聞いて欲しいですよね。それを好子として使おうということです。

      強化とは相手が気づかなくても良いのです。大人の場合、「誰かの思い通りになっている」と思いたくはないので、気づかない方が有効かもしれません。例えば レストランに行って、美味しくてサービスも良ければまた行きますよね。強化とか難しいことは言わなくても、強化は毎日起こっているのです。

  • 教育の問題を強化を使って分析しよう

       特殊教育のクラスでこんな例がありました。朝学校の入り口でお母さんと子供が別れます。先生が、「教室へ行くよ」と子供に告げると、ある子供だけ床に座り 込んで動こうとしません。「好子を使わなければ」と思った先生、教室からオモチャを持ってきました。「ほら、教室に行ったらオモチャで遊べるよ。」オモ チャを見た子供は、喜んで教室に歩いていきました。先生は、「強化が成功した!」と思いました。次の日、また同じ事が起こりました。子供はまた動こうとし ません。先読みしていた先生は、オモチャを持ってきていました。しかし、オモチャでは動きません。オモチャがいつも好子となるとは限らないことを知ってい た先生は、頭をひねった結果今度は歌を歌い始めました。歌の好きな子供は、また喜んで教室に歩いていきました。こんなことが続いて、毎日座り込んでしまう この生徒に対して、先生は毎日色んなことをしなければならず、私のところに相談に来ました。ちょっと分析してみましょう。行動は「座り込んでしまう」こと です。子供が座ると、何が起こりますか?先生がオモチャを持ってきます。歌も歌ってくれます。分 かりますよね。強化になってしまっているのです。実は先生、この「座り込んでしまう」行動を強化してしまった訳です。先生の行動を分析すると、「オモチャ を持ってくる」とか「歌を歌う」という先生の行動が、生徒の「教室に向かって歩く」という行動が好子になって、強化されてしまっているのです。

      この分析に従って、「オモチャや歌を全部やめましょう。子供が教室に行ったら、オモチャや歌を出しましょう。」と提言しました。最初の日は教室に行くまで 何分かかったと思いますか?何と1時間45分もかかりました。1時間45分もの間、私は3分おきぐらいづつ「教室に行こう」と言い続けました。子供はその 場から逃げ出そうとしたり、ゴミ箱に手を突っ込んで遊ぼうとしたりするので、それも完全に体で阻止しました。つらい1時間45分でしたが、子供が教室に入ったら、オモチャや歌で遊んであげました。こ れまでに強化されていた行動が突然強化されなくなると(消去)、一時的にですがもっと同じ行動を続けてしまったり(もっと悪くなる)、これまでに見られなかった行 動が見られるようになることが、研究で証明されていますので、これは計算のうちということです。ちなみに、「引っ掴んででも連れて行けばも良いんじゃない ですか」、と言われる人もいますが、この子はたまたま身長体重ともに非常に大きい子供で、とてもじゃないけれど、先生一人では動かせません。将来的にも、 無理に動かすよりは、本人から自分で動くのが一番良いでしょう。次の日はどうだったと思いますか?たったの15分でした。教室でしっかり遊んでやりました。その次の日からはほとんど抵抗せずに教室に向かうようになりました。先生は「魔法のようだ。」とおっしゃいましたが、これが行動科学の力ということなんです。

      問題行動が起きてから、どうしたら良いのかという疑問をする方がほとんどなのですが、実は問題行動を起こさないように、適切な行動を日々強化することが大切なのです。上の例では、「教室に入ったら色々遊んであげる」という強化が将来の座り込みを防ぎます。始めに、「将来的に行動の頻度が増える」と言いましたが、言い換えれば、強化ではその場面の行動を換える事はできないということなんです。その場しのぎの方法ではなく、将来どういう行動を増やして、どういう行動を減らしていくのか(強化しないようにする、消去する)将来に向けて計画をたてる必要があるのです。強化は明日のために使うということです。言葉で説明するルールや条件を使った場合、すぐに行動が変わることがありますが、本当の強化はゆっくりとしか変わりません。花に水をやるようなものです。

  • 強化が起こる4つの条件

       ここで、どうやったら強化が効果的に使えるのか、使えていないとすればどうやって使えるようになるのか、説明します。4つの条件が満たされて、効果的に使 えるようになります。1)理由・動機(動機付け操作)、2)行動の前条件、きっかけ(先行条件)、3)行動、4)行動の後条件(結果)です。この条件について次のページにより詳しく説明しますが、ここでも軽く触れておきます。

     第一の動機や理由(動機付け操作)について言うと、前にも言った通り 好ましい物とうのは好子として使えるか使えないか、その時々によって違います。好ましい物を選んだとした場合、「欲しい」時と「たいして欲しくない」時と では、学習のペースが完全に違います。最大限に強化を生かそうとすれば、例えば子供に行動を教える際にお菓子を好子として使うとします。この際、いつもお菓子を与えてお くのではなく、たまにしか与えない状態にしておくと、お菓子に対する「欲しさ」が上がるわけです。

      第2の行動のきっかけ(先行条件)について言うと、行動を起こした時に好子が得らそうな条件を明確にしておく必要があるのです。例えば、コーヒーショップに行って、オー ダーするかしないかは、もちろんコーヒが欲しいか欲しくないかにもよりますが(理由、動機)、コーヒーショップがオープンしている必要があるでしょう。長 蛇の列がある場合にも、列の一番後ろから、「カプチーノ!」と叫んでもオーダーは取ってもらえません。オーダーしてコーヒーがもらえるのは、列の一番前にいる時だけです。好子がもらえそうな条件を明確にしておくと、子供も行動を学びやすいんです。

      第3は行動で、教える行動を明確にしておく事です。当たり前に思われるかもしれませんが、教える際には教える側が、何を教えているのか明らかに分かっていないとい けないのです。教える側が、「何となくこんな感じ」程度の理解程度では、学ぶ側も「何となくこんな行動」というような行動を学びます。

     第4は、好子の使い方(結果)です。好子は行動のすぐ後に起こらなければいけません。本当の強化を使っている場合(子供がルールや条件等を理解していない場合)、すぐに好子を出すのか、3−5秒経ってから出すのかで、学習に大きな違いが出てきます。

     ここに挙げた1−4の条件に関しては、次のページから詳しく説明していきます。

他のニュース、情報

 ニュースにして欲しい内容など、リクエストがあれば、お教えください。

意見のある方

    本サイトへのご意見のある方、また内容や文章の構成等、間違いなどにお気づきの方、連絡ください。koji.takeshima@yahoo.comまで。

Copyright 2012 なごや自閉症治療教育相談室. All rights reserved.

Web Hosting by Yahoo!

ひまわりABA教室 (発達療育レンテ名古屋)
461-0001 名古屋市東区泉1丁目
10-25 シェモア泉 7A

ph: 052-212-8513
fax: 052-212-8514

himawariaba@elche.co.jp