なごや自閉症

治療教育相談室

Nagoya Autism Treatment, Education, & Consultation Center

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強化を上手に使う

 一見単純かつ簡単に見えてしまいそうな強化ですが、実際に使うとなるとそれほど簡単には行かないのです。間違えて使って、やっぱり「強化は上手く行かない」「最初は上手く生けけど、そのうち行き詰まる」」簡単な事にしか使えない」等と言った失敗に陥らないように、ここでは強化をより効果的に使うために準備の仕方、どういった行動を選択するのかなどを紹介します。

1 動機/モチベーションをあげる(動機付け操作):「やる気にさせる!」

 いつ(強化を使って)教育するのが良いと思いますか?単純に言えば、子どもが学びたい時です。言語や勉強のスキルを教える際、特に机に座ってする勉強の場合は、勉強自体を「したい」と言ってくる子どもは稀でしょう。勉強自体がそれほど面白くない以上、お菓子やオモチャ等のご褒美や、面白い遊びや会話、ゲームなどを使って面白くします。机でのレッスンの際は、子どもに好きなご褒美や遊びを選ばせることから始めます。

 机でするレッスンの他にも、生活に必要な活動を通して色々なスキルを教える事ができます。例えば子どもが外に出かけたい時に、ジャンパーのチャックを上げることを教えたり、靴を持ってくる事を教えたり、「開けて」と言わせたり、色々な事を教えられます。子どもがお菓子の棚を勝手に開けてしまう時(お腹が減った時)、お菓子をご褒美として食べる前に手を洗うことを教えたり、お菓子の数を数えさせたり、色々教えられます。こういった自然の流れの中のレッスンの方が、机でするレッスンよりも効果的であることも多くありますが、残念ながら教える機会を逃してしまっている家庭が多いのです。

 私が親教育の際にお母さん(お父さん)に言うのは、「子どもからアプローチさせる」ことです。特に障害のある子どもや言語が遅れている子どもは、何か欲しい時にそれを伝えられないために、自分で問題が解決できないために、泣く事が多いのです。そういった時に、すぐにその物を与えてしまったり、子どもが手間取らないようにすぐに手助けしてしまったり、先走りして子どもが泣かなくても良いようにしてしまう親が多いのです。そうすると、子どもは泣かずにすむかもしれませんが、子どもからお母さんにアプローチして何とか問題を解決しようと挑戦したり、何かをそこから学んだりする機会がなくなってしまうのです。大パニックでは困りますが、ちょっと泣いてしまっても大丈夫です。特に教え始めは泣きますが、慣れてくれば泣かなくなります(泣かなくてもちゃんと頑張れば欲しい物が手に入ると学ぶので)。 

 自然の生活の流れの中で色々教えると言っても、煩雑な日々の生活に紛れて効率的でない教え方をしたり、忘れられてしまわないように、ステップに従って系統的にやることもできます。

  1. まず第一には、もっとも教えるのに適切なスキルを見つける事です。「欲しい」と言ったり、「お母さん」と呼んだり、視線を合わせたり、色々なことが教えられますが、何を教えたいのか明確にすることです。当たり前かもしれませんが、教えたい側が何を教えたいのか明確にしなければ、子どもには学んでもらえません。
  2. 第二に、子どもがちゃんと「欲しい」という意思を明確に示すまで、しっかり待つことです。親の中には、「この子はこのお菓子がすっごい好きだから、いつでも欲しがる」などと言って子どもをしっかりと観察せずに状況だけから子どもの動機(「欲しい」)を勝手に解釈してしまう場合もあります。人の動機は時によって変わるのです。お腹がすいていない時もあれば、体調のすぐれない時もあります。しっかり子どもの動きを観察して、一般にではなくその時本当にそれが欲しいのか見極める必要があります。
  3. 第三に、子どもが手を伸ばしたり、明らかに何かが欲しいと行動に表した時に素早く、どうしたらよいのか見本を見せたり、目標となる行動が出来るように手助けしたりします(「プロンプト」と言います)。「欲しい」と言ったり、「お母さん」と呼んだり、物を顔の前で動かす事で視線を顔の方に向けたり。この際、子どもの動機がなくなってしまわないうちにすることが大切です。

 しっかりと子どもの行動を観察していれば、子どもの欲しい物を追って行くだけでも一日に何百回も教える機会はあるものです。ですが、このように子どもの「欲しい」という動機を待つだけでなく、こちらから動機を効果的に作り出す事も出来ます。例えば、子どもの好きな物がジュースや飲み物であれば、冷蔵庫の飲み物にはつねに子どもの開けられないキャップをつける、冷蔵庫やお菓子の戸棚に子どもが自分で開けられないような錠をつける(チャイルドロックはホームセンター等で手に入ります)、子どもが好きなコップがあれば逆に嫌いなコップをあげる、こういった細かな準備で子どもが親に頼まなければいけない状況は大きく増えます。子どもはもちろん自分の嫌いなコップをもらって、よい気持ちにはならないでしょう。ただ、本当に好きなコップがあるのなら、「僕のアンパンマンのコップをちょうだい」と言ったり、指で指したり、「それ」と言ったり、しっかりと指定することも覚えられるでしょう。

 ちなみに、要求は最も重要なスキルの一つで、人間一生涯勉強し続けると言って良いでしょう。例えば会社に入りたい時には履歴書を書いて応募して、面接を受けます。大学に入りたいときは試験を受けます。会社の商品を売りたい時には、色々なプレゼンをしたり会話術を上達させたりする必要があるかもしれません。子どもでも、欲しい物を指定したり、丁寧にお願いしたり、視線を合わせたり、適切な音量で言ったり、色々なレベルの要求の仕方があります。親御さんによっては、「この子は要求はできるから目標にしなくても良い」などと大まかなことを言われる場合もありますが、要求のスキルを学びきってしまう事はあり得ない事なので、要求はいつも目標の中に入っていると考えても良いでしょう。

 子どもの「したい」という動機を使って物事を教える際、子どもをしっかりと観察する事が必要になります。ジュースが欲しくてさっきまで「ジュース」と言っていたのに、3分後にはジュースを要求できなくなることもあります。たくさん飲めばジュースに対する「欲しい」動機は減りますし、安定して口で要求出来るまで、さっきまで言えた事が今は言えないということもあります。(この経験を繰り返して徐々に安定して口で要求できるようになると考えてください。)話し言葉は首を絞めて声を絞り出させる訳に行かないので、特に注意が必要となります。もし声がでないときは、指差しさせたり、うなずかせたり、代替の要求に替えるといいでしょう。「欲しい」動機があまりに高いときも注意が必要です。泣いたり問題行動を起こしたりといった確率も上がります。

 こういった例があります。子どもがジュースが欲しくて冷蔵庫を開けました。お母さんは冷蔵庫のジュースを取って、「ジュース」と子どもに繰り返すように指示します。子どもは何も言いません。お母さんはジュースを見せながら、「ジュース」と繰り返します。このまま進展せず2分くらい経った頃、子どもはお母さんを噛んで、ジュースを奪いました。

 この場合、子どもが明らかに言葉で言えない状況です。子どもの表情や行動を観察しながら対応を変える事が大切ですので、教え方を何も変えずに2分待たせたのはちょっと問題です。代わりに、最初は指差しさせたりうなずかせたりさせて、まず少しジュースをあげます。2回目、3回目で「ジュース」と言えるようになっても良いのです。昨日「ジュース」と言ったから必ず今日はジュースと言えるというように、直線的な学習の仕方をしない場合が多いので注意しましょう。大事なことは、何度も繰り返し機会を与える事です。機会が増えるに連れて、徐々に言えるようになるのです。

 一日の生活を振り返り、時間割を考えてみましょう。

 これまでにも言って来た通り、基本的に子どもが何かしたい時に合わせて色々な事を教える事が大切です。例えば食べたい時にスプーンを持ってこさせたり、スプーンの数を数えさせたり、おやつのお菓子の色を教えたり、外に出たい時に上着や靴を持ってこさせたり、チャックの上げ下げを教えたり、ということができます。お腹の好いている程、外に行きたい動機が強い程、学ぶスピードも上がるでしょう(前に述べたようにお腹のすき過ぎも教えにくくなりますが)。

 こういった自然の流れを利用して教える時には、一日の生活を振り返ってみて、どこにどういった教えるチャンス(子どもの動機)が隠れているのか、どういった行動を教えられるのか時間を追って振り返ってみることを勧めます。その場その場で教えて行くだけではなく、しっかりと考えて教える準備をすることができます。例えば朝8時に朝ご飯を食べるのであれば、聞き手のスキル(茶碗や食器、箸・フォークなどを机に持って行く事)、要求のスキル(どんなジャムやふりかけをつけるのか選ぶ)、微細動作(フォークの使い方)、ルールに従う事(椅子に座って話す)など、これだけでも4種類の目標が立てられます。細かくいえば、ふりかけを要求するだけでも、要求をする際に相手の注意をまず引いてから要求する、高い棚にあるふりかけをとる、ふりかけのキャップを開ける、ふりかけの種類を選ぶ、ありがとうというなど、色々教えられます(一度に全部教えてしまおうとすると、報酬と行動のバランスが崩れて、「そこまでしなければいけないのなら、ふりかけが欲しくない」ということになりかねないので注意)。

 時間割・予定を設定する際に、どういう行動が難しいのか考慮に入れて予定を立てるようにします。例えば一度公園に行ったら、家に帰りたがらない子どもがいるとします。そういう場合、公園に行く時はだいたいちょっとお腹が減りそうな少し前に出かけます。そして、遊びが終わってお腹がすいた頃に、「帰るよ」という代わりに「おやつの時間だよ」と言っておやつの一部(小さなお菓子の包み紙など)を見せるようにします。こうやって本人の動機を利用する事で、家に帰りたくない場合でも比較的楽に家に向ける事ができます(無理矢理引き戻すにしても、比較的楽に引き戻されてくれる)。最初から難しい事を予定したい時は、しっかりと時間をかける必要があります。例えばマクドナルドの前で必ず泣くとか(ポテトが欲しくて)、スーパーに行くとお菓子を見て泣くとか、そういった事が分かっている場合には、しっかり親自身が時間と心に余裕がある時に練習として計画的に時間に入れます。

 また、どの子どもにも当てはまるのですが、自閉症の場合特に「勝手にして良い時間(自由遊び)」はどうして良いのか分からないことが多いので、ある程度の枠組みを与えたり、選択肢を与える必要があると思います。「自由(何も指定しない)」と言うのは、「悪い事をしても良い」と取られて仕方ないと考えて下さい。別に細かく指示する必要はありませんが、「この部屋にあるオモチャで遊んでてね。(もちろんそれに見合った時間を設定する)」「このゲームとこのオモチャがあるけど、どっちが良い?」などと、ある程度の枠組みを与えたりしながら徐々に「適切に遊ぶ(ある程度のルールに従う)」ことを教えて行く必要があります。遊び自体が全然できない子どももいます。フラフラしていたり、意味のない同じ事だけを繰り返してしまう子どももいます。こういう子どもにも徐々に色んなオモチャとの遊び方を教えて行かないと、将来的に全然目が離せない子になってしまいかねません。お母さんやお父さんが遊びに入って、少しずつで良いので「ああ、こんな遊び方もある」「これって意外に楽しい」という経験をさせてあげて下さい(遊び自体が楽しくないと「遊び」にならないので、強制的にやらされているのは「課題」になってしまいます)。遊び方を教える時間も、スケジュールの中に組み込む必要があるでしょう。

 最後には、お母さんやお父さん自身の時間も計画に埋め込んでいくことです。意外に思われるかもしれませんが、子どものためを思うあまり親は特に計画の段階から「私が頑張らなければいけない」と自分の体に無理をした計画を立ててしまいがちです。息抜きも全然ない計画を立ててしまっている場合、長続きできません。短い1日の中でどうやったら自分自身の時間を効率よく取れるのかが、療育を長続きさせる重要な鍵になってきます。しかも、将来的に親が自分に楽になるような目標を立てておくと、将来的に楽になります。例えば子どもが自分一人で適切に遊んでくれれば、将来的に親のフリータイムが増えます。子どもがしっかり着替えができて、ルールに従えて、自分で色んなことをコミュニケーションできて、そういう積み重ねが将来の子どものためにも親のためにもなるので、自分自身に得になるという事は、皆にとってとても良い事だと理解して負担を減らしましょう。

 

スケジュール・時間割の例

時間   活動       行動の種類            ターゲット

 


8時   起床・着替え   微細行動・着替え         袖を通す、足を通す

              聞き手スキル服ノ種類、体の部位  手、肘、お腹、ズボン

8時半  朝ご飯      要求               要求する前に、ママと言う

              ルールに従う           椅子に座って食べる

              聞き手スキル食器         皿、カップ

9時   朝の活動1    一人遊びのスキル         パズル、粘土、おままごと

10時  外に出る     公園での遊び           砂場、滑り台

              公園でのルールに従う       公園の中で遊ぶ

              外を歩く時のルール        お母さんの手をつなぐ

11時  手洗い、スナック 石けんで手をあらう        石けんを泡立てる

              要求

11時半 一人遊び     ルールに従う           好きな遊びを選ぶ

     (お母さんお昼の準備)               次の遊びに移る前に片付け

                               「できた」って言う


 こういった自分なりの時間割を立ててみて下さい。目的は、この時間割に従わなければ行けないという事ではなく、これを立てる事によって一日のうちのどこにどのような子どもの動機が隠れていて、どういうよなスキルをどこで教えて行っているのか、大まかに見る事だと思います。効率的な時間の使い方を出来ているのか、子どもの動機がしっかり捉えられているのか、振り返ってみて下さい。

モチベーション高すぎ、ってある?

 時折、特定の物や活動に非常に強い興味関心がある場合があります。例えばチョコレートが好きすぎて、3秒ごとに「チョコレート欲しい」なんて言ってしまう子どもや、粘土が好きすぎて一日でも粘土で遊んでいるとか、そういう場合です。チョコレートばかりあげる訳にもいかないですよね。どうしたら良いのでしょう?何か好きな物が強い場合は、その物が「いつ与えられるか分からない」状態にするのではなく、できれば「いつも決まった時間に必ずあげる」ようにします。例えばトーマスのビデオが大好きだとしますよね。子どもが「トーマス」を要求すると、「今はダメ」と言うのではなく「じゃあトーマスの時間は5時ね。」と与えられる時間を指定し、指定した時間には必ず見せるようにします。まあ毎日見せても、一日30分見せても、一週間に3回でも、その時間と頻度は子どもに合わせるにとして、大切なのは決まった時間に必ず与えるようにする事で、「トーマス」を常に要求しなければ行けない状態から脱却する事です。「今はダメ」なら、30秒後は?3分後は?とうように、いつ来るか分からない状態を作り上げてしまい、ますます一日何十回も要求しなければならない状態になってしまいます。まさにパチンコ屋に行って、「つぎに当たるもしれないから」と、ついつい当たるまで打ち続けてしまう状態で、ますますのめり込んでしまいます。しっかり定期的に与える癖をつけた方が、何度もお願いする手間が省けるのです。どんなに眠くてコーヒーが欲しくても、閉店時間のコーヒー屋さんで「コーヒー作れる?え、ダメ?3分後なら?じゃあ30分後なら?」って何度も聞かないでしょう?いつ開店になるか明らかだからです。「もしかしたらもらえるかも?」という状況はさらに要求行動を増やしてしまうので注意しましょう。


 

2 きっかけを与える(先行条件):「すべてはどう見せるかにかかっている!」

 適切な環境は正しい行動を学ぶ成功体験につながります。教育の環境を整えることで、目標とする行動を増やし、不適切な行動を減らすことができます。環境と大まかに言っても、着ている洋服から、前に行った活動の種類、場所、時間、そして私たちの与えるルールや指示まで含めて、子どもに影響を与える外環境すべてが含まれます。こういった外環境を準備して整える事で成功を最大限にする事ができます。

 例えば5人の乳幼児を3時間私が預かるとします。乳幼児のお守りって結構大変ですよね。5人もいれば尚更です。おむつ替えから遊びまで、これが3時間無事に終えるかどうかは、準備にかかっているといっても良いでしょう。おむつ交換の場所をしっかり用意し、替えのおむつや拭き取りようのウェットティッシュやビニールの袋等を準備します。これでおむつ交換一つ一つに時間を取られすぎる事を防げるでしょう。オモチャも、お絵描きの場所や、ミニカーの場所、楽器の場所などを用意しておきます。これで子どもに適切なオモチャ遊びを促して家具に登るなどの問題行動を減らします。もちろんコンセントをカバーしたり家具の角をカバーしたり、ぐらついたりする家具を取り除きます。事故防止になります。それから、ルールもしっかりと用意しておきます。「お絵描きは紙の上に」「次の遊びの前にお片づけ」などとしておけば、部屋中にお絵描きされたり、オモチャが部屋中ばらまかれるのを防ぎ、事故防止につながります。子どもを遊びやすい服装に始めから着替えさせておく事も必要でしょう。3時間後にお母さん方が迎えに来たと時に、私が泣いているか笑っているかは、こういった準備にかかっているのです。

 部屋のアレンジ

 第一段階は、部屋のアレンジです。私はインテリアデザイナーではないのですが、常識に従ったアドバイスが時には役に立つ場合があります。自閉症という大きな問題の前に、一番単純なことをすっかり忘れてしまうっていうことも時にはありますから。一般に子どもに見えているオモチャの数を限定するように勧めます。アメリカの家庭では特に大量のオモチャを保有していてその数に圧倒されることがあるのですが、日本でもやはり部屋の大きさに合わせて整頓された状況を保つ事が大切です。子どもにその場で見えるオモチャの数を減らし、しばらくしたら今までしまってあった(子どもには見えなかった)オモチャと交換します。こうすることで、しまってあったオモチャは新鮮さを取り戻し、「出してあるオモチャの数に圧倒されて欲しい物も見つからない」、「数多いオモチャがあるがこそ逆にすぐに飽きてしまう・疲れてしまう」という状況を防ぎます。寝室に3つ、居間に3つ、外に(ベランダなど)3つなどとそのとき遊べるだけの本当に少ない数に限定しても良いのです。居間でしばらく遊んだら寝室に移り、寝室からベランダに移る(適切であれば)等、場所を変えながらメリハリを付けて遊ばせるのも良いでしょう。

 付け加えて、必ず片付ける場所を用意しておきます。オモチャに限らず、洋服、ジャンパー、テレビのリモコン、ゴミ箱など、それぞれしかるべき場所が用意されていなければ、子どもだって片付けられないし、欲しい物も見つかりません。それから、子どもが悪いことをしてしまわないように、子ども用安全対策をしっかりしておく事も当然必要です。家具の角から子どもの頭を保護したり、コンセントをカバーしたり、親の飲む薬を子どもの手の届かない所に置いたりなどは当然です。ただし将来的には「子どもが自分から危険を回避する」ということを教えるのも大事なので、安全対策のみに頼りすぎないことも重要です。例えば、赤いビニールテープなどを貼って、「触っては行けない場所」を作り、「ここの中の物は触ってはダメだよ。」と説明します。子どもが一定時間中の物を触らなければ褒めてあげ、そ逆に触ろうとしたら、「触らない」としっかりと低い声で伝える。ここで勘違いしないで欲しいのですが、これは赤いビニールテープを貼ったからと言って子どもが自動的に触らないようになるわけではありません。この赤テープの意味はルールに従うことを練習させることであり、そこに入って行けない事を教えるのは親です。今起こっている問題への解決策ではなく、将来問題を起こさないための日々の練習の一つとして捉えた方が良いでしょう。

 着るもの

 着るものも行動に大きく影響します。病院に行ってやはりお医者さんは白衣を着られておられる方が、信用出来ると思いませんか?もちろん白衣を着たからと言ってお医者さんの腕が上がるわけではないのですが、服装の重要さを語っています。同じように子どもも学校に行く服、寝る時の服など、時と場合に合わせて洋服を用意する事が当然です。親御さんによっては普段から子どもにあまりに可愛い洋服を着せて、「汚さないように」気にされる方もいますが、遊びや運動から色々学ぶのですから、可愛くあるために学ぶ機会が減ってしまうのであれば残念です。可愛い服はそれなりの時と場合を選んで、その時は汚さないように教えることも必要かもしれません。

 子どもへの指示

 子どもへの指示も、成功体験につながる良い言い方やそうでない言い方もあります。一般に子どもに対してたくさん話しかける事が大切ですが、幼い子どもや言語発達の遅れている子どもにはそれなりのレベルで、はっきりとゆっくりと喋りかけることも必要になります。意外かもしれませんが、親が子どもの言語レベルを大きく超えた話し方をすることが結構多いんです。例えばある子どもは「○○だから、こうして。」という理由が理解できるけれど、ある子どもは「○○だから」という理由は理解できないかもしれません。子どもが限られた言語許容量でしか理解できないということは忘れずに、出来るだけ単純な言葉で伝えることが大切です。子どもの言語の低いうちは、「言葉数は少なく単純な程良い」ということもあるかもしれません。

 子どもの言語の発達に合わせて、徐々に言葉数や複雑さを増して行きます。例えば子どもがスプーンを落としたら、「あっ、スプーンを落としちゃった。」外に出て寒ければ、「寒ーい。」大きなトラックが通れば、「見てほら。大きなトラックが通る。」など、すべての事を言わばナレーションするのです。こうしてナレーションすることで、言語の使い方の見本ができるのです。ちなみに幼児期の子どもは多くの事を口に出して話しますが、その後頭で考えて口には出さなくなります。私たちは黙っていても言語を常に使っている状態と考えて良いのです。ですから子どもにもどうやって常に言語を使えるのかの見本を見せるのです。子どもが真似をできれば、「そうだね。」と褒めてやります。こうやって何千回もの見本を見せた(真似をする機会を与えた)後に、徐々に子どもの方から自然に言葉を発するようになって欲しいですよね。その場合、「あ、見て。・・・」と文章の始めだけを言って、3−5秒待つようにします(これは研究ではよく使われる手法です)。この待っている間に子どもがその文章の続きを言ってくれるようになれば、しっかり褒めます。言ってくれなければそのまま親が言ってしまえば良いのです(焦らずに何度も繰り返します)。そのうち驚いた顔をするだけでも(「見て。」等と言わなくても良いです。)やってみます。徐々に何か変わった事があった場合にそれを見て言葉を発するように促すのが目的です。その後も徐々に使う語数(ボキャブラリー)を増やして行きます。「牛だ!」と子どもが言ったら、「そうだね。牛がたくさんいるねえ。」と応え、「牛がいっぱいいる!」と言ったら、「白黒の牛さんが、いっぱい昼寝しているねえ。」と答えるなどです。

 言語の話してのスキルに加えて、聞き手のスキルも生活の中で教えられます。例えば、遊んでいるオモチャがテーブルの下に転がってしまい、子どもが周りをキョロキョロして探しているとします。一般に親が物をとって渡したり、指を指しながら「そこ」と言ったりすることが多いのですが、これでは聞き手のスキルを教える機会を逃してしまいます。「テーブルの下。」と言ってあげることで、「○○の下」という概念を教えます。これが気をつけていないと人によっては非常に難しい。私なんかは普段の生活で物が落ちた時に、「ああ、物がテーブルの下に落ちた。」とは頭の中で考えていませんので、「そこ(指差しながら)」と言う方が先に出てしまいます。教育のために無理に「テーブルの下」と言わなければいけないので、結構気をつけなければいけない。逆に頭の中でそういう言葉が自然に思い浮かんでいる人もいます。そういう人は口にするだけですので簡単です。もっと例を出せば、子どもにお箸を片付けさせる場合、「流し台の下の引き出し」「スプーンの隣。」などと言ってあげた方が、「そこに片付けて。」と指差すよりも言語の練習になります。「それ」「そこ」などを乱用せず、具体的に言葉で説明する癖をつけることも大切だと考えて下さい。ただし、先にも述べたように子どものレベルに言語を合わせるようにしなければいけないので、どれぐらいの言葉を理解できるのか考慮する必要はあるでしょう。

 お母さんによっては、同じ指示を何度も何度も繰り返してしまう方がいます。「座って。座ってって。ほら。こっちに座るの。早くしなさい。す・わ・る。座りなさい!」などです。覚えてらっしゃいますでしょうか?学習(強化)が起こるには4つの条件が必要になります。1)理由・動機、2)行動の前条件、きっかけ、3)行動、4)行動の後条件、この4つです。指示は行動の前条件に入ります。これ全部すべてがそろって初めて学習(強化)が起きたことになるので、行動の前条件だけ(何度も同じ指示)を繰り返しても、学習の機会は増えないのです。もし行動が起きなかったり別の行動が起きているのなら、次のステップとなる矯正(行動の後条件の一つ)に入ります。何度も同じ指示を繰り返すと、逆効果もあります。例えば上の例で「座って。座ってって。ほら。こっちに座るの。早くしなさい。す・わ・る。座りなさい!」と言って、子どもが最後の「座りなさい!」で親が声を荒立てた時に座るとします。親からすれば、「繰り返した事でやっと座ってくれた。」となりますが、子どもからすれば、「声を荒立てるまでは指示に従わなくてよい。」とメッセージを受け取ったということにもなりかねません。言い換えれば、親が何度も同じ指示を繰り返せば、現実上親を無視するように教えているようなものです。もし子どもに指示に従うことを教えたければ、1回だけはっきりと言いましょう。従えれば褒めてやり、従わなければ1回だけは繰り返しても良いですが、それでもできなければ手を取ってでも従わせる(矯正手続き)。手を取ってでも従わせる態度があれば、子どもの方もどうせ従わなければいけないのですから子どもが指示に従うことを学ぶ、という側面もあるのですが、実際は指示に従った時に褒めることを繰り返すことで指示に従うことを学ぶ(成功体験の方が重要)ので、矯正手続きに頼らないようにしましょう。次の章からのヒント参考に、指示を簡単なものに置き換えたり、時には褒める以外の強化子を使ったりして、褒めるを4、矯正するを1の割合で成功している状態にすること。そして徐々に指示を難しくしていくことが重要です。子どもが幼い頃は特に、何が正しくて何が正しくないかを教える事が重要になってきます。子どもは分別を持って生まれてくるのではなく、親が教えるのです。最近は、「子どもの言うようにやらしてあげたい。」なんてはっきり言われる親御さんもいますが、それは親が教育の義務を無視しているとしか言えません。親の責任をぜひ果たして、これから良い関係を築く基礎を培ってください。

 ヒント1:よそ見予防

 指示を与える場合は、よそ見の原因となる他環境の影響を考慮します。例えばテレビを見ている時に「ちょっとこっち来て」と指示されるのと、何もしていない時に指示されるのでは、指示に従ってくれる成功の確率は全然違うでしょう。テレビを消す必要があるかもしれません。お子様がADHDや自閉症などの診断がある場合には、よそ見をしてしまいやすいことが障害の一つのようなものですから、特に注意が必要です。例えば、「くつ持って来て。」と指示する時に途中でオモチャが落ちていてはそれに流されて遊んでしまうこともあるでしょう。子どもが外に遊びに行きたいから(動機があるから)、「靴持って来て」という指示を出したにも関わらず、競争となる動機(オモチャ)に負けたということです。子どもによっては、始めからよそ見しそうな物を除去してしまうことも必要かもしれません。もし子どもがよそ見をしてしまうことが多いために、すべての物を除去しなければ指示に従えないということであれば、この子を教えるのには相当の時間がかかります。自閉症の場合、本当にテーブルの上の前に物を1つだけ置いて「ちょうだい」の指示に従うことから教えることから場合もあります(ディスクリートトライアルと言います)。基本は出来る事、成功体験から初めて、徐々に難しくしていくことです。よそ見の多い子どもであれば、原因となるものをできるだけ少なくして、徐々に増やす事がその子なりの成功体験を増やすことになります。

 ヒント2:勢いに乗せる

  もし子どもがある種類の指示には従えるけれど、ある種類の指示には従いにくいとします。従いやすい指示、従いにくい指示と分類して、その指示を与える場面を選びます。例えば、「こっち来て」「箸を持って来て。」「それとって」「これゴミ箱に捨てて」は簡単に従えるとします。「片付けて」「座って」はなかなか従ってくれないとします。そうすると、「こっち来て(従いやすい)」「すごーい。よくできた。(強化)」「これ捨てて(従いやすい)」「これもできた!ハイタッチ!(強化)」「じゃあこれ片付けて(従いにくい)」「やったー。(強化)」というように、従いやすい指示に従わせてから、従いにくい指示をちょっと混ぜるということです。褒められることが好きな子どもは、比較的簡単に調子に乗せる事ができます。

 ただし、同じ指示でもその時々によって従いやすい・にくいが変わる場合が多いので注意します。例えば、子どもが例えば、新しいオモチャを見つけて、今まで遊んでいたオモチャを片付けずに遊び出したとします。そこで「片付けてから、次のオモチャ」というルールに従わせようとしますが、もう次のオモチャを見つけて遊びだしたところですから、「ダメ。片付けてから。」などと言うと、泣きわめいたりするとします。こういった子どもの場合、「こっち来て」「これ捨てて」は普段従いやすい指示なのだけれど、新しいオモチャを目の前にして全然従えないかもしれません。その代わりに、「ハイタッチ」「その(オモチャの)ボタン押してみて」といった指示に変えたり、片付けてという大まかな指示から、「これ(前のオモチャの部品の一つ)をかごに入れて」といった具体的な一瞬で済んでしまうような指示に変えたりすることで、「片付け」という指示に従う成功の可能性をあげる事ができます。一つの部品をかごに入れたら、次に1分後に2−3の部品をかごに入れさせたり、徐々に片付けさせることもできます。肝心なことは、「従わなければいけない」という威圧感を与えるのではなく、「結果として知らないうちに指示に従ってしまっている」状況を作り上げることです。

 良くある間違い1:指示の代わりに選択肢を与える

 私が指示に従うことを何度も言っているのは、指示に従おうということは本当に重要だからです。指示に従ってくれさえすれば、他の事が本当に教えやすくなるのです。私にABAを教えてくれた監督の一人ですが、「指示に従わせることを教えるだけで、仕事の半分が終わったようなもんだ」と言っている先生がいました。その通りだと思います。それだけ重要なので、しっかりと基礎を身につけましょう。

 よくある間違いとしては、「これして」という代わりに「これしたい?」と聞いてしまう親がいます。子どもが無視していると、「そう。したくないの。」なんて言ってしまう。子どもに何かして欲しいときは、「したい?」なんて聞いてはダメです。「したくない。」というのが当たり前の返事だと思います。「して。」と言う事で、選択ではなくて従わなければいけない親の指示だということを明確に示しましょう。したくなくてもしなければいけない事はあるが当たり前です。病気の時には、「お医者さんに行くよ。」で良いのです。「お医者さん行く?」では逆に、じゃあ「行きたくない」と言う余地があるかのような誤解を招きます。

 ヒント3:指示を選択肢風にアレンジする

 物は言い方によって本当に聞こえ方が違うこともあります。選択肢をアレンジする事で、指示に従いやすいようにすることもできます。先ほどの医者に行く例でいけば、「医者に行く?行かない?」の選択ではなく、「医者に行くから、アンパンマンと一緒に行く?トーマスと一緒に行く?」という選択肢をつけてしまえば、医者に行くというよりも選択に重点があるかのような言い方になり、選択する行動が引き起こりやすい。子どもが朝自分で選んだ洋服しか着ないとします。親から選んだ物を着ろと言われても、着れない。そういう場合にも、「こっちの服が良い?それともこっち?」という選択肢にします。まあ要点は、親からの指示は避けられないけれど、その中でも少しの自由はあるという状況にして、子どもにある程度の妥協をすることを教えるのです。

 良くある間違い2:ウソをつく

 特に問題行動のある子どもを持っている場合、その時々のピンチを乗り越えるために、ウソを使う親も結構います。例えば学校にいると、初めての日にお母さんと分か れるのが嫌で泣いている子どもっていますよね。「私がいなくなると絶対に泣くから」と言って、子どもが遊んでいる間にそっと逃げ出そうとする親もいます。 この場合にも私は、「泣いても良いからこっそり逃げ出さず、しっかりバイバイして下さい。」と伝えます。どうせお母さんがいなくなったと気づいた時に泣く のですから、始めから分かったほうが「いない」という事実が理解しやすい。お母さんがこっそり逃げ出した場合は、いついなくなったのかも分からないし、い つ帰ってくるかもわからないので、結局の所泣く時間が長くなってしまう場合が多いです。

 お母さんと子どもがスーパーで買い物をしている時に、子どもがチョコレートを見つけて欲しいと泣くとします。「ダメ」というとさらに泣きます。このまま買わないと、さらに泣き叫ぶことは目に見えています。「じゃあかごに入れなさい。」と言ってかごに入れさせます。でもレジに行く前に子どもがよそ見している間に、そっとチョコレートを棚においておく・・・。こういった事はあるかもしれません。ただし、この場面では子どもの泣き叫びをうまく切り抜けたような気もしますが、何も教えていないので根本的な問題は解決しないでしょう。ここで教えたのは、お母さんをじっと見ている(そうでないとチョコレートはなくなるかもしれない)という行動でしょう。遅かれ早かれ問題には直視しなければ行けないのですから、早い方が教えやすいでしょう。8才になってもまだスーパーで泣き叫んでいる子どもを想像して下さい。自然の成長を待つよりは、早くから教えましょう。

 では、いつもスーパーで泣き叫び、お菓子を買わなければどうしようもない状態の場合、スーパーで物をせがんで泣かないように教えるにはどうしたら良いのでしょうか?強化の順序をもう一度紹介すれば、1)動機、2)きっかけ(行動前)、3)行動、4)褒美(行動後)という順序になります。(せがまずに)お母さんと一緒に歩くという行動を教えるのです。まず子どもの好きそうなご褒美を用意しておきます(動機)。スーパーで選びそうな物でも良いです。「お母さんの引くカートに掴まって歩ければ、これをあげる。」と子どもに言っておきます(きっかけ)。一緒に歩かせて(行動)、ちゃんと歩ければその褒美をあげる(褒美)のです。最初は成功できそうな、スーパーの場所を選びます。例えば乾物のところは特に好きな物もないので、簡単に成功するでしょう。ただ、お菓子の所は難しいです。ですから徐々にならしたり、褒美をしっかりと用意することも必要になるかもしれません。「せがんで泣くよりも、指示に従うことで欲しい物は貰える。」という状態になっていくことが大切です。いつも泣き叫んでいた子どもの場合は時間はかかりますが、教えることは可能です。

 ヒント4:視覚でヒント

 子どもによっては口で指示するよりも、視覚で見た方が指示に従い安い場合があります。例えば「外に行こう。」といっても見向きもしない子どもが、外で着るジャンパーを見せると外に行こうとする場合等です。おやつと言う代わりにお菓子の包み紙を見せたり、お菓子の袋をふって音を鳴らす方が反応する子もいます。特に言語の発達の遅れている子どもの場合、言語情報だけでなく色々な情報を取り入れて理解している場合が多い事を頭に入れておく必要があるでしょう。

 ヒント5:ダメの指示に従うことも教える

 指示に従う成功を高めたいので色々なヒントを出してきました。褒める4、矯正1の割合っていいましたよね。成功させる準備を怠っていると、「良く出来たね。」よりも、「ダメでしょ。」「言ったでしょ。」「何で何回行っても言う事聞かないの?」というような矯正の言葉を結果として何度も言ってしまうことが多いのです。ただし、「ダメ」「止めなさい」と言っては行けないということではありません。時折、「そういうネガティブなダメだしは決して行ってはいけません」、というようなアドバイスを受けられた方もおられますが、私は時には必要であると思います。そういう「ダメ」と言われた時に行動を止めることも教えなければいけません。指示を出す前に色々と下準備をすることで、子どもが指示に従える可能性は格段に高くなるのですから、できるだけ「ダメ」の使い過ぎを避けましょう。

 


3 行動・目標の選び方

 ここで紹介したいのは、幼児期の教育に重要な行動です。ここでは、自閉症や発達障害の療育に絞ったものではなく、一般的に幼児期に教えておくべき行動を紹介します。と言っても、たくさんの行動をリストにしてあげるのではなく、子どもの人生に大きく影響を与える基軸となる行動をいくつか紹介します。「基軸」となる行動とは、その一つの行動を教える事で、その結果たくさんの好影響が得られるものを言います。例えば車の運転です。車の運転ができることで、色々な場所に行ける事ができ、その結果として人の行動範囲、手に入るものや活動の範囲も大きく広がります。行動的に言えば、強化子へのアクセスを広げてくれる行動です。インターネットの使い方なんかもそう言う行動の一つでしょう。子どもに教える行動を選択するのは実は非常に難しいんです。私たち大人はあまりにたくさんの行動をしているのですから、それに近づけようとすればすべて全部の行動を教えねばならないのでしょうか?そういった方法では、一度にたくさんの行動を教えようと欲張りすぎて、どの行動もしっかりと定着しないということにもなりかねません。できれば、一つの行動をしっかり教えてそれを定着させ、その行動を学んだ結果さらに子どもがより色々な他の行動を学ぶというのが理想です。また、これらの行動は近い将来、他の子どもよりも一歩先に出るために教える、受験に合格するというための行動ではありません。将来を大きく見据えた上で、どういう行動傾向があれば将来的に自分から問題を解決し、自分によりたくさんの幸せ(強化子)を呼びこんでこられるか、に焦点を当てています。これから紹介する行動は、実は1つのグループの行動であり単発の行動ではありません。ですから、同じグループに属する色々な行動があるわけですから、一生かけて勉強すると考えも良いかもしれません。

 行動1:指示に従う(しつけ)

 色々な家庭があり、親御さんがいます。「もっとご飯を食べて欲しい。」「落ち着いて欲しい。」「お菓子が貰えないと泣くので、そのわがままを改善させたい。」子どもに対する目標も様々でしょう。これらの目標を達成するために私のようなコンサルタントの所に来る場合は、99%以上、指示に従うことをその一環として教えなければいけません。家庭を訪問する際は、大抵の場合子どもがお母さんの指示に従えないような状況が見られます。親の指示にしっかりとしたがって学習に協力的になってくれれば、明らかに学習のスピードが上がるのですから、これは避けて通れません。指示に従った場合は必ず褒めるということを習慣づけたいのですが、指示に従う事を教える重要性をあまり理解されていない方が多いのです。

 指示に従うということは1つの行動ではなく様々な行動の塊です。色々な指示と状況において指示に従えなければいけなく、かなり大きな目標です。共通の特徴としては、誰かが指示した内容の行動を子どもが行うことです。3ステップで教えます。

一歩目:一番簡単な指示に従うことから始めます。

「ハイタッチして」とか「座ってお菓子を食べなさい。」などが簡単に従える指示の例でしょう。

二歩目:もし子どもが従えたら、褒めます。

「やったー。ハイタッチできたねー。」「座っておかし食べられた。よくできた。」

三歩目:もし子どもが従わなければ、従えるように補助します。

取りあえず指示した事をやらせます。近寄るだけでできる場合もあれば、手をとって補助しなければいけない場合もあるでしょう。

 ポイントとしては、指示を与えた場合には必ず褒めるか補助のどちらかをして、指示を出したまま素通りさせてしまわないことです。子どもが従えないような、難しすぎる(例えば補助してもできないような)指示は最初から出さないようにします。これだけです。ただこれを365日毎日何百回、何千回とするわけですから、まさに言うはやすし行うは難し。普段の生活でこれを守れるようになれば、行動分析的にはかなり良い線行ってます。そしてこれが出来た人には第4歩目があります。

四歩目:徐々に指示を難しくしていく。

 この手法は「エラーレス(間違いのない)指示に従う訓練」と呼ばれています。最初のうちは難しい指示は一切与えないこと(子どもが指示に従えないという間違いを最小限に抑える)から、この名前がついています。難しい点は、一回一回の褒めるという作業自体で突然指示に従えるようにならない点です。繰り返しが長期間で成果を生む。信じて下さい。効きます。そして、子どもが協力的であればあるほど、色々なことが教えられるようになります。親御さんによっては、「ちゃんと指示に従えます。」なんて胸を張って言っていながら、私からすれば「ぜんぜん従えていない」ということもよくあります。ただし、ロボットにする必要はないので、親の方も、子どもの方も80%以上くらいできればかなり良い線行っていると思います。

 ちなみに、この教える過程を、ディスクリートトレーニングと言います。指示を出し、子どもが従い、褒める。この過程を繰り返すわけですが、ディスクリート(一区切り)に分かれやすいじゃないですか。指示を出し、子どもが従い、褒める、これが1区切り。指示をだし、子どもが従わず、補助を出す。これも1区切り。この教え方は自閉症の治療教育で聞かれる方も多いと思いますが、特に自閉症に必要ということではなく、誰にでも使える教え方の一つです。

 さて、簡単な指示から徐々に難しくしていくということですが、具体的な方法を紹介します。親が経験から見て、簡単な指示、難しい指示、そしてその中間の指示は選択します。さらに色んな分野において指示を選ぶ事も可能です。

1)聞き手としてのスキル(座って、○○とって、指差して)

2)質問に答える(話し手のスキル)(「いくつ?」「お名前は?」「昨日どこへ行ったの?」)

3)お勉強のスキル(パズル、迷路、間違い探しなど)

4)遊び・ゲーム(ルールを覚える、順番を待つ)

5)手先を使う作業や運動(ビーズ、習字、ストレッチ、体操、キャッチボール)

6)生活に必要なスキル(着替え、歯磨き、箸の使い方、お片づけ)

 こういった分野ごとに、それぞれ簡単な指示、難しい指示、その中間の指示を書き出していく訳です。これだけでも結構根気のいる作業ですが、こうすることで子どもにとって「何が難しくて、何が簡単なのか」をしっかりと具体的に考えるスタート地点に入ります。分野を分ける事で本当に一日の中の色々な指示が具体的に目に思い浮かぶでしょう。この際、「できるか、できないか」の能力で見て分類するのではなく、「指示に普段従うか、従わないか」で分類して下さい。能力からすれば従えるはずの指示が、全然従えない子どももいて、指示に従わないためにその能力自体がどれぐらいなのか分からなくなってしまいます。取りあえず始めは、従えるものを「簡単な指示」従わないものを「難しい指示」にして行きます。指示に従うトレーニングが進めば、従うことが可能な指示と実際に従う指示の差が徐々に狭まってくるでしょう。

 簡単に従える指示、難しい指示が確認出来たら、それを出す作業にかかります。始めの日・週は取りあえず、書き上げたリストの中から簡単な指示だけ出しても良いでしょう。そして徐々に、中間にあたる指示を小出しにして出す訳です。簡単な指示の間に混ぜて出す(指示に従う勢いをつけてから少々難しい課題を出す)のも良いでしょう。どれくらいで進めるか(どれくらい早く難しい指示を出せるのか)は、子どもの反応次第です。成功していれば早めに進んでも構いませんし、そうでない場合はゆっくりと進みましょう。特に指示に従えない傾向が非常に強い子どもは注意が必要です。成功の度合いはできればデータにすると一目瞭然になりので、お勧めします。データの取り方は、「強化の前に」のページを参考にして下さい。一番上の列に、「簡単な指示」を一つずつ書いて行きます。左手の行には日にちを書いて行きます。その日一番最初に指示を与えて子どもが従えば、+マークをつけます。指示に5秒以内に従えなければ、マイナスをつけます。マイナスがあまり多かった場合は、指示が「簡単に従える」ものではなかったということなので、リストを書き換える必要があります。プラスがたくさんある場合には、成功ということなので徐々に「中間の指示」を与えていきます。3日連続でプラスがある場合は、今後その指示にはデータを取るのを止めても良いでしょう(データを取るのを止めても、たくさんの成功体験を積ませることが目的なので、指示は与え続けましょう)。データ用紙をもう2枚用意して、2枚目は中間の指示、3枚目は難しい指示にすると良いでしょう。日にちが経つにつれて、1枚目の(簡単な指示のデータ)にプラスが増えるにつれて(もしくはデータとるのを止めた行が増えるにつれて)、2枚目の指示を徐々に出すようにします。こうすることで、親からすれば「簡単に従える」と思った指示が、実はそうでなかったりすることにも気づきます。特にこのトレーニングは効果が実感できるまで時間がかかるものなので、データを取る事で良い方向に進んでいるかどうかが+、−という視覚情報で伝わるので、時期早々にして(結果が実感出来る前に)「全然成長していない」などと諦めてしまうことを防ぐ事にもつながります。

 「遊び時間が教える機会でもある」

 この指示に従うトレーニングを始める時は、指示を出したり褒めたりすることが、ちょっと恥ずかしいというか、変に感じるかもしれません。特に褒める方は、にっこり笑ってうなずきながら背中をさするだけでも良いです「お片づけできたね。すごい。」など、何が良かったのかを指定出来ると良いですが、あまり不自然にならないように、色んな言い方を勉強する必要があります。指示を出す際も、指示が生活の流れでスムーズに出されていなかったりすることもあるかもしれません。実際にはその流れの中で教えるのが一番なので、徐々にで大丈夫ですがスムーズに指示を出せるように練習する必要もあるかもしれません。残念ながら遊び時間は、「自由時間」というような考え方の親が多くて、子どもの好きなようにさせてしまっている親が多いのです。しかし、遊びの時間こそがまさに、指示に従うことを教える格好の機会となります。

 子どもが積み木を積んでいるとします。まあそのうちすぐにあきて、どこか他のオモチャを見つけるかもしれません。この時、「ほら、戻って来て。お城を作ろう。」等と言っても、子どもは親を押して、新しく見つけたオモチャの方へ行ってしまうかもしれません。指示に従うトレーニングでは、指示に従えない時はどうしますか?補助するんですよね。子どもの手を引いて、無理に従わせようとします。そうすると、子どもが泣く。楽しいはずの遊びの時間が台無しです。遊びの時間に指示に従うトレーニングを入れようとする際は、他の状況と違った対処が必要なんです。子どもが「遊びたい」というやる気を損なわないように、指示を教える必要があるからです。しっかりとした対処方法が分かっていれば、子どもに積み木を使って塔を作る事を教えたり、家を造ったり(手先の動かし方、お勉強のスキル)、積み木の色を教えたり、さらに人形を家に登らせたり(創造的な遊び)遊びながらいろんなことが教えられます。子どもが「楽しい」と思う活動や遊びと、指示をスムーズに混ぜ合わせることで、子どもが乗って来ている状態を保つのです。積み木で塔を作る例で行けば、塔を作らせるだけではなくて、塔が高くなって来たら「倒れるぞ!キャー。やめてー!」なんて大げさにすることで、子どもは大分乗ってきます。

 子どもを乗らせるためには

 簡単に子どもを乗せられそうでしょうか?難しい事もあります。子どもが興味を持ったものを見つける事が難しい事もあります。基本として、子どもが手に取ったオモチャや興味を示したものを使って、一緒に楽しい遊びをするのです。ただし、子どもが楽しい物を見つけるまで待っていれば良いかというとそうする必要もありません。子どもによっては遊び方を知らないがために、あまりオモチャに興味を示さないこともあります。自閉症の子どもを扱う場合は特に遊び方を知らない場合が大半なので、取りあえず色々オモチャの使い方や遊び方の見本を見せてみます。楽しい経験をしたことがなければ、興味がないのも当然でしょう。子どもがあまり積み木に興味を示していなくても、「やった、積み木がある。煙突作っちゃおう。あ、あれー?た、倒れる?」(まだこの段階では指示は出していない事に注意。)子どもがもし無視して他へ行こうとしても、ちょっと抱えて積み木の方へ体を向けて、「た、大変だー。倒れるー!」って両手をあげてみせたりします。これはまあ一般的な「子どもの興味のある物を追う。」という手法ではないのですが、色々見せてあげる事で、もしかしたら将来的に好きになってくれるかもしれません。子どもが微笑んだり、そのまま見続けてくれたり、さらに参加してくれれば儲けものです。遊びが本当に難しいのは、どの方向に行っても良いというオープンさと、子どもの反応によってこちらがやり方を変えなければいけないことです。子どもが遊びらしい遊びをしてい時には、子どものしている事なんでも構わないから参加したり、色々と見本を見せたりすることから始めてみましょう。とりあえず何かしてみてみて、子どもが何の反応もしめさなければ次の何かに移り、子どもが楽しそうにすれば、何度か続けてみる。この過程を何度か続けるうちに、とっかかりがつきます。

 鍵になるのは、子どもと同じレベルで遊ぶ事です。本当に基本的な遊びって子ども時代以来した事がないでしょう?大人になると忘れてしまいがちです。積み木を倒すだけで良いんです。ボールを転がすだけでも良いんです。遊びをする時には、単純で、期待を少し裏切る驚きを入れたり、ちょっと誇張したりします。例えば、単純でちょっと驚かせるために、時折私は靴や車、ボール、コップなど普段頭に乗せない物を頭に乗せてみます。そして「あれ?これ帽子だっけ?これで良い?ちがうよ—!」なんて言いながら、まるですっごい魔法でも見せたかのような言い方をして(誇張して)みせます。物があれば上下に動かしてみたり(「上へ上がりまーす。」とか言いながら)、逆さまにしてみたり(「あれれ?逆?」とか言いながら)、物を落としたり崩したりしもします(「落ちるぞー」)。単純で簡単で、ちょっと驚きがあったり、ちょっと誇張されていたりします。「1、2、・・・3!」とゆっくり数えながら、3の所でくすぐったりもします。3の所でくすぐりが来る期待感は中々のものです。「がおー。」とか「食べちゃうぞー。」とか、「待て待てー。」とか、色んな台詞や音を混ぜても良いです。歩く時に「1、2、1、2」なんて言いながら、足を大きくあげてマーチしたりもします。小さい事ですが、子どもの視線を引きつけることが大切です。どれが正しいということではなくて、自分のスタイルを見つける事が必要です。経験のあるセラピストさん、保育士や幼稚園の先生もそれぞれ違った自分のスタイルを確立されていますから、見せて頂いたてやり方を盗んだりしながら、やってみて試したりしながら徐々に確立して行きましょう。

  遊びの時間は指示に従う事がより難しくなるかもしれません。自分が小さい頃のことを思い出して下さい。一番好きなオモチャがあるとしますよね。そのオモチャを人に貸したり、大人から言われたやり方で遊びたかったですか?遊びの最中は、先に作った簡単、難しい指示のリストの書き換えが必要になってきます。実は同じ指示でも、従う事が簡単、難しいというのは状況によって変わって来るものなんです。遊びの最中に指示に従うことを教えるには、子どもが常に「一緒に遊びたい」というやる気が保つ必要があるのです。本当に指示に従うことが出来ない場合は、大人がオモチャに触っただけでその場を去ろうとする場合もあるでしょう。オモチャには興味を示していても、大人が指示を出した途端そのオモチャから興味を失ってしまうかもしれません。泣いたり床に寝転んでしまうかもしれません。遊びだと思っている時に、勉強になってしまったのでは本末転倒です。しかし、指示を出す事を恐れる必要はありません。

 こういった例があります。伊藤さんは保育をまだ初めたばかり。3才の男の子のゆう君を預かりました。伊藤さんはゆう君が積み木を持ち上げたのを見ました。伊藤さんが「煙突つくりたい?」と積み木の遊びに参加しようとすると、ゆう君は伊藤さんを押しのけました。「そう。積み木で遊びたくないの。わかった。」ゆう君は積み木を離れてミニカーで遊び出します。「すごい。ミニカー持ってるんだ。競争しよっか。」伊藤さんがミニカーで一緒に遊び出すと、ゆう君はまた伊藤さんの手を押しのけます。「そう。競争したくないんだ。」伊藤さんはちょっと悲しげにゆう君を見つめ、ゆう君は自分のやり方でミニカーで遊び出しました。・・・こういうこと経験ありません?これぐらい協力してくらない子どもは、指示に従う事を教えられるまでには時間がかかります。ですが徐々に始める事はできます。

 経験のある保育士さんの林さんがゆう君を預かることになりました。ゆう君はあまり誰とも遊べませんし、指示にも従いません。ゆう君が積み木で遊び始めると、林さんも参加しようとします。「積み木?良いね。私も煙突作っちゃおう!」林さんが言うと、ゆう君はその場を離れてミニカーで遊び出そうとします。林さんはすぐにゆう君を捕まえて、「ミニカーの前に、お片づけ。」ゆう君はまたその場を離れようとします。林さんはゆう君を行かせず、さらに「お片づけ、その後ミニカー。」と続け、自分でも片付け始めました。ゆう君が何もしないで林さんをみつめると、林さんは積み木をいくつか片付けた後で、ゆう君の手を取って積み木を一つかごの中にいれました。「やったー!お片づけできた!ミニカーどうぞ。」とミニカーを渡します。ゆう君がミニカーで遊び始めると、林さんはミニカーをゆう君の体中、お腹の上へ走らせます。「ブーン、ブルーン。」お腹の上で動くミニカーにゆう君はちょっとくすぐったくて笑います。「位置について、用意、ドン!」林さんはミニカーを走らせます。ゆう君は林さんの走らせるミニカーを見ます。ミニカーを取り戻して、「位置について、用意、ドン!」林さんがまたミニカーを走らせると、ゆう君はそちらを見ています。次は林さんは、「とっておいで。」とミニカーを指差すと、ゆう君はミニカーをとってきました。「ありがと。じゃあ行くよ。位置について、用意、ドン!」林さんはまたミニカーを走らせました。

 何が違うか分かります?こちらから積極的に色々子どもにとって何が面白いのか働きかける必要があるんです。どんなオモチャで遊ぶかということが重要なのではなく、それでどんな遊びに持って行くかが重要なのです。子どもによっては持ち上げられるのが好きだし、こちょこちょされるのが好きな子もいます。どんな遊びでも、子どもが笑ってくれれば、乗ってくれば良いのです。子どもがこちらの方に接近してくるようになれば、しめたもの。私たちの遊びが重要な強化子、やる気となって指示に従う事を教える事ができます。こういう例だけ見るとこんな簡単に行くのかと思ってしまうかもしれませんが、実際はそう簡単にいくとも限りません。子どもが人好きで、経験のある大人と遊べば、10中8、9は、子どもが大人と遊びたいと近寄ってくるでしょう。大人が経験がなければ、10中5回に減ります。自閉症の場合は10回につき1回かもしれません。ですがこの働きかけを止めてはいけないのです。何度も何度も試せば良いのです。その働きのうち当たって、子どもがこちらの方に遊んで欲しくて近寄って来る可能性も、やり続けていればありますが、働きかけなければないのです。

 ではおさらいです。

  1. 子どもの興味のあるオモチャを使う。もしくはオモチャを選んで見本を見せる。
  2. 遊ぶ時は単純で、驚きがあって、誇張した動きを使う。
  3. 子どもを観察する。子どもが笑う遊びは続ける。そうでない場合は次のに変える。子どもが笑う遊びが見つかるまで続ける。
  4. 子どもが笑って近寄ってくれば、子どもが楽しんでいる遊びをご褒美として徐々に指示を入れる。
  5. 指示を徐々に難しくしていく。

 最後に一つだけ注意点ですが、子どもが本当に頑固な場合はゆっくり進めましょう。「ハイタッチ」とか、「ほら、このオモチャ好きでしょ。もらって。」などから始めれば良いのです。段々波にのってくれば、もっと難しい事も可能ですが、無理に難しい事を要求して遊びのやる気をそがないように気をつけましょう。「人が色々指示して来ても、遊びって楽しいんだ。」ということを経験させるようにゆっくりと長期戦というつもりで頑張りましょう。

 

行動2:要求する(マンド)

 「動機・モチベーションをあげる」の章に書かれている(このページの一番上のあたり)ため、ここでは重複を省きます。先に述べた通り、一生かかって上達させて行くスキルです。


行動3:行動のバリエーション(新しい行動)

 療育を行うということは、色々な行動を色々な環境下で行えるように教えることです。行動を教えたら、色々な環境で行えるようになるにつれて初めてその行動の意味が本人にとって重要になります。「いちご」と言う言葉を言うにしても、いちごを目の前にした時、「い、から始まる言葉は?」と言われた時、お腹がすいた時など、誕生日のケーキを選ぶ際に「ケーキにのせる果物は何が良い?」と聞かれた時、などなど。私の療育の経験からすると、色々な遊びを知っている子どもは、色んな行動を勝手に学んで来たり、行動を色んな場面で使ってみたりして驚かせることが多いのです。遊びの幅が広い子どもは単純に学ぶ機会が多くなり、学ぶ行動が増えるのではないかと私は思います。発達障害の子どもに典型的な行動は、同じ事を繰り返す事です。そのため学ぶ機会を狭めてしまっている。健常児との発達に差が開いてしまうのは、これも一つの要因となっているかもしれません。

 


行動4:最後までやり遂げる傾向
行動5:物を共有する・順番に行う(相手に気を使う)

製作中

 


4 行動の後の褒め方(結果)

製作中

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