- 様々な種類の療育があり、下に挙げたものはその一部です。子どもの発達を促す働きかけのことを療育と言います。
- 言語療法:コミュニケーションの不足や遅れがある場合、言語療法が行われます。文字通り言語の専門家による言語の発達支援です。ただし、専門家のなかでも、言語療法士にはお年寄りや交通事故での脳障害の方の言語療法を主に行う方もおられるので、発達障がいの療育など、発達支援に経験のある言語療法士を探しましょう。言語療法士による療育は、1週間に1時間、隔週で1時間など、それ程高頻度でない場合が多く(もちろん、詳しくは専門家にお聞きください)、セラピー中に言語を発達させると言うよりも、セラピーで行われたことを後にご家庭や学校で継続して反復練習することで効果が現れることもあります。学校教育、作業療法、ABAなどと同時進行で療育を進められる場合が多いです。
- 作業療法(OT: Occupationa Therapy):発達に障がいのある子どもには、体の動かし方がイマイチ上手でないことが多いです。例えば、倒れた時に上手く手を使えなかったり、上手く字が書けなかったり、障害物が上手く よけられなかったり、姿勢が保てなかったり、です。体の動かし方の特徴や弱点が他のスキル(能力・技能)の学習上で問題になる場合、作業療法で改善する事が適切な場合があります。また、特に自閉スペクトラム症には、感覚統合 (Sensory Integration)といった療法もあります。自閉スペクトラム症児には、ある刺激に非常に敏感であったり(トラックが近くを通ると必ず耳を塞ぐなど)、逆に鈍感 であったり(強く頭を打っても平気な顔をしているなど)します。こういった感覚のずれを統合しようという理論に基づいています。現在では、この療法はまだ研究によって自閉スペクトラム症への効果が確認されていませんので、今の所特に推薦はできません。作業療法も、専門家による療育は1週間に1時間程度が多いようです(もちろん詳しくは専門家にお聞きください)。これも、セラピーそのもので体の動きを改善させるのではなく、同じような訓練を家庭で反復練習することで効果が出る場合があります。これも、学校教育、言語療法、ABAなどと同時進行させることができます。
- ABA(エイ、ビー、エイと呼ぶ。日本語では応用行動分析):研究によって自閉スペクトラム症、そしてその他の発達障がいの子どもの行動改善に対する効果が証明されている療育の一つです。心理学の一分野であり、発達障がいに限らずビジネスでの行動改善や、ギャンブル行動、大学教育、など色々な研究がされている。ABAの中にも、以下にに挙げたような色々な手法や理論が存在します(この他にもたくさん存在します)。
- DTT(Discrete Trial Training、ディスクリートトライアル、ディー、ティー、ティーとも呼ばれる):自閉症療育で一番有名かもしれませんね。難しい、または複雑なスキルを細かく単純にしていきます。主に子供と1対1で、その細かく分けられた一つ一つの行動を教えていく方法です。
- PRT(Pivotal Response Training、ピー、アール、ティーと呼ぶ):ディスクリートに対抗し、日常の生活の流れの中で、子どもが選んだ物を使って、基軸となる行動に焦点をおいて教育していく方法です。
- VB(Verbal Behavior、または言語行動):ABAの創始とも呼ばれるスキナーの言語の理論的分析に基づいて、言語を教えてきます。
- 機能分析(Functional Analysis、Functional Assessment)と行動介入(Behavior Intervention):問題行動がなぜ起こっているのかを確認する手法を使い分析し、その理由にあわせて問題行動への介入を行う。
- Picture Activity Schedule:視覚優位(聞くよりも見る方が得意)な生徒の特徴を利用して、写真や予定表を使って、視覚的に見せることで、日常生活の自立をめざしたり、社交性のスキル(能力・技術)を教えたりする。
- PECS(Picture Exchange Communication System、ペックスと呼ぶ):写真や絵を使ったコミュニケーションの仕方の一つです。ABAの理論を使って作られました。言葉が話せない子供に対して、何か欲しい時に、口で言う代わりに写真や絵を渡すように教えることから始めます。
- Video Modeling:ビデオを使って、見本を見せて、スキル(能力・技術)を教える。
専門家によって、どういったABAを使うのかは、大きく違うかもしれません。私の場合、VB、DTT、PRTなどを組み合わせて使います。上記された方法はどれも使った事がありますが、子どものタイプや必要性に合わせて、使うものを変えていきます。