薬物療法とは?





 薬物を使った療法は医師の専門になります。薬を使うことが良い、悪いと一般的な結論は出せませんが、子どもとその状況によっては有効に活用することができる場合もあるでしょう。療育の専門家からすると、「薬で問題を解決しよう」と言う姿勢ではなく、「薬を使って療育や通常の教育の効果を入りやすくできる可能性がある」と考えていただくと良いと思います。あくまで療育や他の教育に付け加える、補佐的な使用法をお勧めします。情報をできるだけ集めて自分の子どもにとって必要なのか判断することが必要ですが、有効な使用は医師との相談から始めましょう。

 薬の種類も、広く使われているものと、そうではないものとあります。例えば、ADHDなどに処方されるものは、比較的薬物療法の効果の研究や一般的な使用も広がっている分野であり、過去に使ったことのある人の体験談や一般的な内容など、情報も比較的容易に手に入ります。

 比較して、自閉スペクトラム症に使われるものは、必ずしも一般に使われているとは言いづらいでしょう。この理由は、障がいの症状があまりに広範囲にわたるため、それぞれの症状の内容によって使用する薬物が変わったりすることがあるためです。例えば、攻撃や自傷などの問題行動が多い場合に向精神薬、多動の問題がある場合にADHDなどに有効な薬を、などと言った使い方がされることがあります。基本的に自閉スペクトラム症自体の原因もわかっておらず、そのものを治療する薬は存在しません。ただし、症状の改善に有効な場合もあります。

 最近の研究では「オキシトシン」が効果があるのではないかと言うニュースが出ましたね?まだ研究の段階です。妊娠中、授乳中の母親には体内でたくさん合成されるホルモンだそうです。時々こう言った新薬がニュースで出ますが、それが実用可能な状態なのか、しっかりと情報を収集し、医師に相談することが大切でしょう。

 また、薬ですから副作用も考えられますので、発達の真っ只中の幼い子どもに処方される時は、「色々な条件を考慮した上でそれでも必要なら」、ということになるでしょう。もちろんその長所短所について、専門医にご相談ください。

 もう一つ注意点は、薬物の適切量や適切な薬物の種類は、処方して使用してみないと医師にもわからないのです。この薬をこの量で1ヶ月使ってみて、効果がないので量を変えて1ヶ月、副作用が強いので薬の種類を変えて1ヶ月・・・時によっては適切な量と種類を見つけるまでに1年以上かかる場合もあります。また、頻尿になるとか、食欲を増やすとか減らすとか、ぼんやりしてしまうとか、副作用がどのように現れるかも個人差があり、処方前には必ずしもどのような反応をするのかが予測しづらいようです。

 療育の専門家としては、どのような場合もまず療育を先に推薦します。療育は、発達途中の生徒に副作用がなく効果も証明されています。ただし、療育は手間がかかるのも否めません。両方の選択肢とその利点・弱点などの情報をしっかりと吟味されて選択されると良いでしょう。





  •  自閉スペクトラム症への療法の1つで医学を使った療法に、キ レートまたは、キレーション療法と言うものもあります。体の中の毒物である、重金属(水銀、鉛など)を取り除く療法です。当然、体の中の重金属が自閉症の原因だと想定していますが、自閉スペクトラム症への治療効果もまだ研究によって明らかにされていません。自閉スペクトラム症児が治療中に心肺停止で死亡したケースも報告されています。私は専門家ではないので否定もしませんが、とくに体に影響を与えるものなので、興味のある方は注意深く勉強してください。科学的な証明がでるまで、私からは推薦出来ません。