ABAの視点取得に向けて





行動の見た目ではなく、その働き(機能)と言う視点から世界を見る



 「これはすごい!」と言うABAセラピストってどんなセラピーだと思いますか?最近はABAに関連したテキストや啓発本なども出回るようになりましたから、ABAの基本を目にした方も多いと思います。例えば「ハッキリと指示を出して(A)、子どもができたら(B)、しっかりと褒める(C)」と言う3つの要素は、よく聞くようになりました。スモール・ステップも良く聞きます。こういった基本は大切ですよね。これらを取り入れることができれば、ABAの最初の一歩が踏めたと言えるでしょう。ではその先は・・・ここからは発想の転換が必要になります。実は「すごい」、「できる」ABAセラピストとは、ABAの「メガネ」で物事を見られる人を言うのです。

 実は、私のセラピーを見学したお母様から「あれぐらいなら私にもできるから」と面と向かって言われたことがあります。ある意味その通りです。私がセラピーをしても、何か奇抜なことをやっているわけではありませんし、真似しようとすれば直ぐに出来ることしかやりません。逆にそうでなければ、「親トレーニング」と称して保護者の方にやってもらうこともできません。ABA的に良いセラピーは、学校の先生がやっても、言語療法士がやっても、親がやっても出来ることなのです。

 ただ、私と新米セラピストでは、見ているところが違うのです。ABAから見たセラピーの良し悪しの判断基準は、セラピストの行動の「見た目」にはなく、1つ1つの行動が「何の目的でどのタイミングで行われたか?」にあるのです。例えば、私がセラピーで行ったことを、そのまま違う生徒で、違う分脈で行ったら、逆効果になってしまうことがあります。私のセラピストとして取った行動が、1秒遅れても、効果が激減されてしまうこともあります。また、同じ効果を生むために、完全に違うやり方で行うことも可能です。セラピストとしての私の行動は、ある方向性の中の1つの歯車として働いて初めて意味があるのです。ABAでは「分脈」という言葉を使いますが、前後に起こることとの関係性に注目することで、1つ1つの行動の意味合い(目的、機能)を明らかにしていくことが、ABAということなのです。「視点取得」をこの講義の目標としたのは、そのためなのです。

 DTT(ディスクリート・トライアル・トレーニング)とか、ロバース方とか、聞いたことありますか?あれを使って最初の型を覚えるのは、テニスの素振りのように、ABAの型を学ぶのに非常に適していて、最初の一歩として有用です。ただしその先は「視点取得」がないと、DTTですら本当の意味でのマスターは不可能です。このウェブサイトでは型ではなく、流れや文脈の中で行動の目的(機能)を見ると言う視点取得があって、その先にある「状況を分析して問題を解決する」事ができることをABAと呼びたいと思います。